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徒然なるままに書き記した戯言集です(^^;)。
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 これは8月末に仕事を辞めてすぐに、9月7日に起きた出来事です。

 ちょうど1年前、出版社でヨーロッパの漫画専門学校の校長先生(外人)と知り合いになり、編集部の一角で見学に来ていた生徒数人(もちろん外人)に漫画の描き方をレクチャーした。と日記に書いた。

http://turedure.blog.shinobi.jp/%E4%BB%95%E4%BA%8B/%E6%BC%AB%E7%94%BB%E3%81%AE%E7%A8%AE
 その校長先生から連絡が来た。漫画専門学校のカリキュラムに日本旅行があり数日間の滞在中に日本漫画を学ぶというもので、その中の1日に日本の漫画家やアニメーターを講師に呼んで授業を行うという企画があって、僕は講師として参加してほしいと依頼を受けた。

 1年前の日記では「ヨーロッパのとある国の漫画専門学校」とボカした書き方をしたが、これは編集部で行った漫画のレクチャーの様子がヨーロッパ圏内でテレビ放送されるので、放送前ということで守秘義務があったためだった。

 ヨーロッパの専門学校は「ヨーロッパ漫画学院」といい、イタリアにある。コミックではなく、日本文化としての「MANGA」を学べるイタリアで唯一の、というよりヨーロッパで唯一の専門学校らしい。

 「ヨーロッパ漫画学院」HP↓
http://www.accademiamanga.it/jap/index.php

 一昨日の土曜日が授業の日だった。会場は秋葉原とお茶の水の中間地点にあるビルで、その中の会議室だった。

 会議室↓
http://www.mystays.jp/location/ochanomizu/meeting/index.php

 授業は朝10時からランチ休憩を挟んで夜7時まで。内容別に1つの授業は1時間。僕は11時~12時の担当だった。
 会議室のキャパは30人ほど。ヨーロッパ漫画学院のイタリア人生徒が20人、代々木アニメーションの日本人生徒が6人だった(ヨーロッパ漫画学院は代々木アニメーションと提携しているため)。

 朝10時、最初の授業が始まった。僕の出番は11時から。2番手だったので、授業の雰囲気を知るために会議室の後ろで授業見学&待機していた。
 最初の授業の先生はトップバッターで緊張しているのか、会場の雰囲気に呑まれたのか、何だか説明がたどたどしい(^^;)。
 授業内容は「キャラクター設計」についてのものだった
  ・キャラクターの性格を書き出してチャートを作る。
  ・キャラクターには欠点や、見た目と性格のギャップを作る。
  ・ストーリーからキャラクターを作る方法もあるし、
   キャラクター設定をキッチリ作ってからストーリーを
   作る方法もある。
 説明がたどたどしい上に内容が高度で複雑であるため、通訳の人(日本人)が何だか困ってる(^^;)。そのせいか、生徒達の頭の上に大きな「?」が浮かんでいるように見える(^^;)。しかも僕の席の前にいる生徒がノートにラクガキをしている(^^;)。
 会議室はヘンな空気に包まれた。その空気の中で僕は次の授業をやらなければいけないのか!(^^;)。

 11時、僕の担当の番になった。
 授業と授業の間には休憩時間は無かった。トイレなどは行きたい時間に行ってもいいスタイルのようなので、ホントに会議室がヘンな空気に包まれたまんまその中に飛び込んで行かなければならなかった。(^^;)。
 僕は何とかこの空気を変えたかったので、冒険だが最初の挨拶でジョークをかましてみた。
 僕はイタリア語をよく知りません。知ってる単語も3つ。「ボンジョルノ(こんにちは)」「グラッチェ(ありがとう)」「ボーノ!ボーノ!(美味しい!)」だけです。と言ってみた。「ボーノ!ボーノ」の部分では、頬に人差し指を立ててクリクリ回してもみた。
 生徒達から軽い笑いが起きた。ちょっとはウケたようだった。ただ通訳を介さないとジョークが伝わらないので、僕がジョークを言ってから笑いが起こるまでタイムラグがあった。これが結構ツラかった。スネークマンショーで似たようなネタがあったことを思いだした(^^;)。
 軽く笑いが起こったことで、会議室の空気が和んだ。冒険だと思ったがジョークも言ってみるもんだ。おかげで僕の気も楽になった(^^)。

 僕の授業は「キャラクターについて考える」だった。前の授業と共通する部分はあるが、僕は内容をシンプルにしようと考えていた。
 お題を出して生徒にキャラクターを描いてもらうという方法を取った。これなら説明は簡単だし、生徒が絵を描いている間は僕は喋らなくてもいい(^^;)。
 僕は1時間ずっと喋り続ける自信がなかったのでこの方法を考えていたが、これは正解だったようだ。複雑な説明は通訳を悩ませることは前の授業で証明済みだし、説明の途中で生徒がノートにラクガキを始めたらショックを受けただろうから(^^;)。

 生徒全員にB4サイズの紙を配った。紙を横に倒して左右を二分するように真ん中に縦線を引いてもらった。
 その左半分に名前を入れ、「自分がもし漫画のキャラクターになったら」とお題で生徒達にキャラクターの全身の絵を描いてもらった。時間は15分、この時間内で描けるようなシンプルなデザインでいいと説明した。
 生徒達が絵を描いている間、僕もお題を描くことにした。ちょうど授業で使えるようにとプロジェクターが用意されていたので、それで僕の手元を映してもらうことになった。僕が絵を描く工程をライブ・ビューイングにするということだった。
 プロジェクターの映像がスクリーンに映し出された。しかし鉛筆線が飛んじゃって映らない。明るさ調整をしても鉛筆線は薄くしか映らなかった。
 試しにボールペンで描いてみたら、何とか線が映った。仕方なくボールペンで描くことにした。
 しかし鉛筆で下書きをすればスクリーンに映らないのでライブ・ビューイングがつまらないものになる。仕方なく、下書き無しでボールペン一発描きをすることにした(^^;)。

 15分経った。次は紙の左半分に描いたキャラクターを使って、「もしキャラクターに向かってボールが飛んできたら、どんなリアクションをするか?」をお題に紙の右半分に描いてもらった。ボールは、野球、テニス、サッカーでも何でもいいことにした。
 自分自身がキャラクターならリアクションも想像しやすいだろうし、楽しく描いてもらえるだろうと考えていた。制限時間は同じく15分にした。
 僕も生徒達と同じようにお題を描き、その工程はライブ・ビューイングで映された。僕は「キャラクターにボールが飛んで来たら?」というお題は決めていたが、リアクションについては考えないでいた。生徒達と同じ条件で描こうと思ったので、アイデアの無いまっさらな状態から絵を描き始めた。

 さらに15分が経った。生徒達の絵を集めてテーブルの上に並べた。その周りに生徒達に集まってもらい、絵を観て感想や意見交換をするようにした。
 この授業の目的は「キャラクターの性格を表現する」ことだった。キャラクターの立ち絵だけではキャラクターの性格が分かりにくいので面白味は薄い。しかし出来事に直面した場合にキャラクターが取るリアクションでキャラクターの性格が分かり、面白味が出る。
  ・キャラクターの性格を考える
  ・キャラクターの性格を元にリアクションを自分なりに想像してみる。
  ・キャラクターの性格はリアクションや行動で見せることが面白い。
 この3点を理解してもらうことがポイントだった。
 生徒作品をテーブルを囲むようにして皆で見るのは、「自分の作品を人に見てもらうこと」「他の人の作品を見ること」「皆で近づいて絵を見ることで講師と生徒達との距離を縮める」ためだった。僕も生徒達に混じって感想や意見を言い、講師として寸評もした。
 生徒作品は「MANGA」を勉強しているだけあって、ちゃんと日本漫画の絵になっている。その中には萌えキャラもいて、ちゃんと「萌えキャラ」になっていた(^^;)。
 しかも個性的なものが多くどれも面白いものばかりだった。わざとムダにカッコイイポーズをとってボールをキャッチする者、ボールをキャッチして、投げてきた人に向かって不敵な笑みを浮かべる者など、生徒達が本当に楽しんで描いていることがよく分かった。
 なぜか女子生徒の作品はボールを避けるものが多く、男子生徒の作品はボールがキャラクターに直撃するものが多かった(^^;)。
 ヘタリア・・・いやイタリア人、面白い!(^^)。

 前の授業のこともあり、授業がどうなるか心配だったが、わりと好評だったようで校長先生からも感謝されたので、とりあえず責任は果たせたと思いホッとした(^^;)。

 休憩時間に通訳の人とお話をする機会があった。
 通訳の人は、校長先生の知り合いだけど漫画や絵に詳しいわけではないらしい。だから漫画の専門技術や用語をイタリア語に通訳するのが難しいのだという。つまり授業の成否は実は、「通訳の人が授業内容を理解できるのか」にかかっていたということだ。
 僕は授業の手間を省くために内容をシンプルにしたが、偶然にもそれが結果として良かったということになる(^^;)。
 また、日本語にはあるけれどイタリア語には無い言葉があるので訳すのが大変だと言っていた。
 例えば角度を表す「アオリ」「フカン」という言葉はイタリア語で該当する言葉が無いらしい(ローアングル、ハイアングルじゃいけないのかな^^:)。生徒達は日本語で「アオリ」「フカン」と理解するのだという。
 通訳の人は日本人講師の説明の流れを受けて「アオリ」や「フカン」について説明しなければならないので、それがすごく大変だと言っていた。
 僕は授業を1時間するだけでいいが、通訳の人は全部の授業に出なければならない。ホントにものすごく大変だ(^^;)。

 文化交流の難しさと面白さがよく分かった、すごくためになる1日でした(^^)。

 しかし話はこれで終わりではなかった!(続く)
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