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「映画漫画の第3話の「ネーム割り」が終わった。
とはいっても、原稿用紙にコマを割って台詞(ネーム)を書き込んだだけ。絵は全く入っていない。これにラフの絵を入れてから編集者にネームチェックをしてもらうことになる。
第3話の中に「Vive La France!(フランス万歳!)」という言葉が出てくる。この言葉を見て、僕はある事を思い出した。それは僕が小学校高学年か中学1年生ぐらいの時に、国語の授業で「最後の授業」という物語を習った事だ。
その「最後の授業」のラストシーンに「Vive La France!(フランス万歳!)」という言葉が登場する。ストーリーは次の通り↓。
アルザス地方に住むフランツ少年は、学校に遅刻をしたがアメル先生は何時になく優しく着席を促した。
今日は教室に元村長をはじめ多くの大人たちが集まっている。アメル先生は生徒と教室に集まった大人たちに向かって、自分が授業をするのはこれが最後だと言う。
普仏戦争でフランスが負けたため、アルザスはプロイセン王国(ドイツ帝国)領エルザスになって、ドイツ語しか教えてはいけないことになり、アメル先生もこの学校を辞めなければならない。これがフランス語の最後の授業だと語り、生徒も大人も授業に熱心に耳を傾ける。
やがて終業の時が来て、アメル先生は「ある民族が奴隸となっても、その国語を保っている限りはその牢獄の鍵を握っているようなものだから」とフランス語の優秀さを生徒に語り、黒板に「Vive La France!」(フランス万歳!)と書いて最後の授業を終える。
(ウィキペディアより転載)
この話を授業で習った時は、僕も主人公の少年と同じぐらいの歳なので、完全に「少年目線」で物語に同化して読んだ。平凡で、いつまでも変わる事がないと思われた日常、それがいつもとは違う先生の態度や、大人達が神妙な面持ちで教室に集まっている異常事態、見慣れたはずの日常が徐々に崩れていくような「ざわっ」とした胸騒ぎを感じ、読んでいてゾクゾクした。
国語の教師であるアメル先生にとっては母国語であるフランス語は自分自身、それを奪われるという事はアイデンティティの損失を意味する。フランス語最後の授業が終わり、もう二度とフランス語を教える事は無い。フランス語を愛してやまないアメル先生が感極まって取った行動が、黒板に大きく「Vive La France!」(フランス万歳!)と書く事だった。百の愛国心説教よりも、この「無言の慟哭」こそが雄弁に全てを語る。それが胸を打つ。
いつも厳しいと思っていた先生が見せたリアルで人間的な姿、それが子供目線で見た時に「今まで意識していなかった’現実’」や「平凡だった日常の終わり」をまざまざと感じさせてくれた。
実はこの「最後の授業」、結構批判も多い。
この物語の舞台である「アルザス地方」で実際に使われているのは「アルザス語」で、実はドイツ語方言の言語だとか(^^;)。しかも歴史的にアルザス地方はフランス語強要の時代もあったとか(^^;)。「最後の授業」の真逆じゃん!(T_T)。いくらフィクションとはいえ実在の場所が舞台であるため、そこに住む人にとっては「なんじゃコリャアッ!?」ってツッコミも入るんだろうなぁ・・・。しかもこの物語が出た1870年代、普仏戦争でフランス劣勢になった時にプロパガンタとして使われたって話もあるらしいし・・・。
好きな物語だけにネットで詳細を調べていたら、こんなんばっか出てきて正直凹みましたヮ・・・(T_T)。
でも僕は「最後の授業」は名作だと思っている。戦争云々や愛国心云々は別にして、アメル先生の「アイデンティティを奪われる男の無念さ」には涙が出るし、子供時代、今まで変わることなく続いていくと思われた日常の中で、「戦争」という非日常(ていうか現実^^;)に直面することにより、もう今までとは同じではいられなくなってしまうという「少年期の終わり」を感じさせてくれるからだ。
だから僕にとって「最後の授業」は「戦争の物語」ではなく「少年の成長物語」だ。
「最後の授業」は、現在では国語の教科書では取り上げられていないらしい。ネットで調べてみたら1985年を最後に教科書からは姿を消したとか。
どうやら戦争による「言語統制」という内容が引っかかっているようだ。日本だって昔は植民地化と共に言語統制もしていたからね(^^;)。教科書の題材としては難しいのかな?。まぁ「発禁図書」ではないのでフツーに本屋で売られているから問題は無いんだけどね。
しかし若者の「本離れ」が問われる昨今、感受性の強い10代の若者に本を紹介できる媒体って、実は「教科書」だったりするんだけど。しかも日本全国だし。だから僕の好きな「最後の授業」が教科書から消されてしまうのは、すごく勿体無いと思うなぁ・・・。面白いのに(^^;)。
今の国語の教科書って、どんな話が載っているんだろ?。あまり面白い話って載っていないのかな?若者の「本離れ」って、もしかしてこういうところから来ているのでは・・・?(憶測^^;)。
僕はまだ読んでいないけど、「ベルサイユのばら」(漫画版)のラストシーンは「Vive La France!」(フランス万歳!)というらしい。「最後の授業」の影響かどうかは不明だけど。「Vive La France!」(フランス万歳!)という言葉は本当に印象に強く残る。
アメル先生は「フランス語は世界で一番美しい言葉」と言っていた。世界一はともかく、「Vive La France!」(フランス万歳!)という言葉は確かに語感が美しいと思う。
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