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徒然なるままに書き記した戯言集です(^^;)。
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 宮崎駿監督のアニメ映画「崖の上のポニョ」に登場する主人公・宗介の母親リサ、このリサの行動に対して、僕と同業である漫画家仲間3人が批判的な意見を述べている。
 批判の内容は次の通り。

1・天候が荒れている中、「ひまわりの家」から車での帰り道、
  ドックの警備員の通行止めの制止を振り切り、車の中に
  宗介がいるにもかかわらず、大波が襲来する中を
  無理矢理突っ込んでいった。

2・嵐の日の夜、5歳児の宗介とポニョを崖の上の家に残して、
  1人車で「ひまわりの家」の安否確認に出かけてしまった。


 1に対しては、「子供が車に同乗しているのに波を突っ切ろうとするのは無茶過ぎる」
 2に対しては、「5歳の子供を家に残して出かけてしまうのは、親として如何なものか」というものだった。

 僕もこのシーンは覚えている。確かにリサはこのような行動をとっていた。しかし僕はこのリサの行動に対し、批判的な意見は浮かばなかった。
 十人十色、人それぞれ感想が違うのは当たり前と言ってしまえばそれまでだが、僕がリサの行動を批判しなかったのは、劇中でその理由が説明されていて僕はそれに納得したからだと覚えている。
 作者の意図が劇中で説明されているのだから、その解釈が人それぞれでバラバラでいい訳がない。ある程度共通の解釈をしないとストーリーを把握できなくなるからだ。
 しかし批判的な意見を持つのは漫画家3人、ストーリー作りのプロであるし、その3人が共通解釈として批判的意見を述べているのだから、もしかしたら僕のほうが間違えているのではと思えてしまう。
 その確認をするために、「崖の上のポニョ」のDVDを観直すことにした。手元にDVDがある方は、それを観ながら確認していただくとありがたい。

 
1のシーンについての検証。セリフはDVDから引用。
  
    夕方、天候が崩れ嵐になる。
    リサは「ひまわりの家」の仕事を終え、宗介を車に乗せて
    海岸沿いの道路を走り、崖の上の我が家に向かう。
    
    船をドックに引き込む交差点(?)で警備員2人が
    交通整理のためリサの車を停めた。
  
  警備員A「リサさん!ここはもう渡れん!」

  警備員B「さっき町のもんに避難命令が出たぞ!」

  リサ   「避難って・・・ひまわりの家にはお泊りの
        おばぁちゃん達がいるわ!」

  警備員B「あそこは島陰だし、堤防も高いから大丈夫だ!」

  リサ   「とにかく一旦家に帰らなきゃ!」

  警備員B「ここは無理だ!」

  警備員A「山に回りなさい!」

     リサ、車の窓から顔を出し、前方にあるドックの
     引き込み交差点(?)を観る。
     海岸沿いの道路から一段低くなっている交差点には
     水が入りこんできている。
     リサは交差点の水の量を見て、車で渡ることを決意する。
  
  リサ   「宗介、行くよ!」

  宗介   「うん」

     リサ、車を前に出す。

  警備員B「あぁ!やめなさい!」


*この時点では確かにリサの行動は無謀
 交差点の段差を渡れば家までの最短距離には違いないが、
 子供を車に同乗させていることを省みて、安全策である
 山の迂回路を通るべきである。
 しかしそれは次のシーンで一変する。


  警備員A「デカい波が来たぞ!」

     沖の方から高波が陸に近づいて来ている。
     高波はリサ達のいる場所に迫っていく。
     
  警備員B「来るぞ!」

  警備員A「逃げろーっ!リサさーん!」

     リサ、交差点に入ってくる波の満ち引きのタイミングを計っている。
     波が引き水面が下がってきたところでリサは車で飛び込んだ。


     (水位が下がるということは、その直後に高波が来ることを意味
     しているので、高波を引き付けてからの発進は危険度が高い。
     しかし水位が下がらないと水の抵抗で車で渡ることは難しいので
     判断に迷ったら絶対に高波に呑まれてしまう)


     リサは猛スピードで対岸に渡り、高波をかいくぐって抜けていった。

*ここで下の場面を見てほしい。

12-01-02.jpg

*高波が迫ってくる場面で、見ての通りここに留まっては絶対に高波に呑まれて
 しまうので、逃げなければいけない。ではどの方向に逃げるか?
 それには3つの方向が挙げられる。
   ・左折して山の迂回路へ
   ・直進
   ・後退
 僕が最初に提示した山の迂回路に向かうことは、高波が来た場合に、高波の
 進行方向上を走ることになる。
 高波は浅瀬に近づくごとに速度と威力が増していく性質を持っている(水撒き
 ホースの口を指で潰して狭めると水が勢いよく出る原理と同じ)。
 速度と威力を増していく高波に車は呑まれてしまうだろう。
 高波が陸に迫ってきた場合は高波の進行方向に逃げるのではなく、高波の
 進行方向から逃れて高波の幅の外側に抜けることが正解だ。
 高波の幅の外側に抜ける最短距離は、高波の進行方向の直角方向になる。
 つまり、
   ・直進
   ・後退
 の、どちらかに逃げるべきになる。
 しかし後退の場合は、バックで早く走れると思えないし、Uターンはタイムロスになる。
 車を猛スピードで直進させたリサの行動が、結果的に「正解」だったといえる。

 しかしリサの行動が結果的に正解だったとはいえ、リサが車を直進させると
 判断したのは「高波が来る前」であり、警備員の制止を聞かないということも
 あり、映画を観ている人はリサに対して「子供が同乗しているのに無茶な
 運転をする」という印象をどうしても受けてしまう
ことになる。
 これは演出上の不備といえるかもしれない。映画を観ている人に誤解され
 やすい表現
になっているからだ。

 リサが車を直進させたのは、リサの行動力を表現する演出もあるのだろうけど、
 海岸沿いの道を走らないと波の上を走るポニョに会えないという、「最大の理由」
 があったからだとも思う(^^;)。



ちょっと長くなりそうなので、2のシーンについての検証は次回にします(^^;)。
画像についての著作権は「スタジオジブリ」に帰属します。
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