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徒然なるままに書き記した戯言集です(^^;)。
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08-03-16.jpg  この漫画は故・福井英一先生の「イガグリくん」。冒険王誌上にて昭和27年から29年まで連載されていた。写真の本は1994年にアース出版局から発行された復刻版だ。
 僕はこの本を、父親のために手に入れた。

 僕の父親は無類の漫画好きで今年66歳になる。
 ある日、父親は新聞記事で「イガグリくん復刻」の記事を見たらしい。「イガグリくん」は父親の少年時代のバイブルだったらしく、復刻の際は絶対買ってやると言っていた。
 後にその記事は、実は同じ作者、故・福井英一先生「赤胴鈴之助」(福井先生は第1話を描いて死去。以後は武内つなよし先生の筆による)復刻だということが判った。
 がっかりしている父親を見て、僕は「イガグリくん」の本を探すことにした。
 しかし復刻版でさえ14年前の物。ネットで調べてもどこも在庫無しだった。神田の古本屋を探しまわっても、どこも置いていなかった。
 ネットでさらに詳しく調べてみると、広島の古本屋が、古本扱いとして1冊だけネット販売に出品しているのが判った。
 この本の定価は1631円、しかし売値はその倍以上だった。稀少本だからプレミアは付くのは仕方が無いと思った。ここで買わないと、もう二度と手に入らないと思い、即買った。
 そして今日、やっと本がウチに届いた。封を開けると、中からB6サイズハードカバー全300余ページのガッシリした本が出てきた。重い、物理的な重さだけでなく、歴史的価値の重さも手の上にのしかかっている。
 ページをめくると、牧歌的な絵が目の前に広がる。昭和20年代の漫画であるため、パッと見は「古い」感じに見える。しかし絵をよく見ると、細かい部分まで実に丁寧に描かれていることに驚かされる。ほとんどのコマが人物の全体が入るフルショット。シンプルな構図ではあるが、それが手を抜かれること無くきちんと描かれているのが素晴らしい。
 当時、故・手塚治虫先生が著書「漫画大学」の中で、漫画のコマ割はアップやロングを入れてメリハリをつけて映画的に描くのが望ましいとした。構図が平板な悪い例として、福井先生の漫画を取り上げた。
 これは当時、手塚先生が福井先生をライバル視していて、嫉妬からそんな取り上げ方をしてしまったという。後に手塚先生は福井先生に謝罪をしてことは納まったらしいが、手塚先生が福井先生のことをどれだけライバル視していたかがよく判るエピソードだ。
 逆に福井先生は手塚先生のことをどう思っていたのだろうか?。自分の漫画を「悪い例」に出されたのはいい気持ちはしなかっただろう。少し疎ましく思ったのではないかと僕は想像していた。
 しかし今回、「イガグリくん」を読んだところ、漫画の中の1コマ、線路沿いの看板の中に「手塚治虫 ぼくのそんごくう」と描かれていた。福井先生は手塚先生のことを一目置いていたんだなと判った。 
 手塚先生は福井漫画を「平板な構図」と指摘したが、今から見るとそれは決して「悪いこと」とは思えない。「平板」は「安定」に見え、それをクオリティを落とさずに連載を続けられることに凄さに驚かされる。今こんなに丁寧に描く漫画家は殆どいないと思われる。

 「イガグリくん」を父親に手渡した。父親にとっては50年ぶりの対面だ。読み進めるごとに少年時代の思い出が甦ってくるという。
 計らずも、これで親孝行したことになるのかな・・・?(^^;)。
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どうもはじめまして、伊原先生。
もし福井先生も手塚先生と同じ位に長生きして活躍が続いていたとしたら、
漫画の歴史は一体どうなっていたんだろうか、と……実に惜しまれてなりませんね。
Posted by 葬流者 2012.06.26 Tue 19:10 編集
はじめまして
 どうもはじめまして 、葬流者さん。
 「先生」と呼ばれるほどの仕事をしていなく、呼ばれ慣れてもいないので、ちょっとこっ恥ずかしいしいです(^^;)。

 福井先生は29歳の若さで亡くなられたので僕は福井漫画をリアルタイムでは読んでいないのですが、父親は当時のことをよく話してくれました。
 また、藤子A先生の「まんが道」でも福井先生のことに触れられていました。当時の漫画家の凄さがよくわかります。

 僕は「イガグリくん」の存在は知っていましたが、実際に読んだのは父親のために単行本を取り寄せたときが初めてでした。
 福井先生は「赤胴鈴之介」の第1話を描かれてから亡くなりました。第2話以降を武内つなよし先生が引き継いで描かれていましたが、当時読んでいた父親は第2話以降を「何だか違う」と思ったそうです。
 やっぱり福井先生は唯一無二の漫画家なんですね。
Posted by たつや 2012.06.27 Wed 13:20 編集
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