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現在、実家が外装を補修している。
実家は築80年の和風民家。それほど大きくはないが、昭和の匂いを色濃く残す古民家だ。ここまで古いとさすがにあちこち痛んでくる。屋根の上の補修は専門の職人に任せているが、それ以外は父親が大工仕事で補修をしている。
元々この家には「伊原家」が住んでいた訳ではない。住むようになったのは少々複雑ないきさつがある。
今から約70年前、地元の別の場所で祖父は運送業を営んでいた。その当時実家は従業員のための「寮」として使われていたらしい。
そして太平洋戦争時、祖父は徴兵され中国大陸へ。保有していたトラックも全て供出することになってしまった。終戦間際、祖父は中国大陸で死亡。社長である祖父が亡くなりトラックも無いため運送業は廃業になってしまった。戦争未亡人になってしまった祖母は幼い娘2人を抱え、従業員の「寮」だった今の実家に住むことになった。
以後、伊原家はこの家に住み続けることになる。部分的な改装はあるものの、家そのものは当時の作りがそのまま残っている。まさに「現存する昭和生活史」だ(^^;)。
僕は20歳の時に漫画家アシスタントになり、家を出て東京で一人暮らしを始めた。以後20年、東京での生活は続く。そして40歳でまた地元に戻ってきた。20年間東京での生活が続いても、実家のことを忘れることはなかった。家族というよりも、家である「建物」そのものや中の空間に愛着があった。長年実家を離れていても、自分の起点は実家であるということを確信していた。
将来的には僕が実家を継ぐことになるだろう。弟2人は結婚して他県に住んでいて残っているのは僕一人だし。一応、僕は長男ではあるけれど、長男の義務だからではなく、実家に愛着があるから守りたいと考えている。
祖母と両親が守ってきた家だ。少なくとも僕の代までは家の立て替えをせずに保護していこうと考えている。別に次の代に家の保護を押し付けることはしないが。
まぁ次の代の心配よりも、現在、次の代が出来る可能性が無い自分自身の問題を心配しなければいけないのかもしれないけど(^^;)
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